通し演習と、これからの実務への接続
新しい題材は出しません。1〜3日目の1社を仕上げます
1社分の「診断 → 戦略 → 提案 → 実行 → 報告」を通しで完成させ、支援メニュー化の考え方を持ち帰る。
このコマで何ができるようになるか
- 湘南精密工業(演習用の架空企業)1社分の「診断→戦略→提案」を、実行支援・月次報告までつなげ、支援パッケージとして完成させられるようになります。
- この4日間で身につけた一連の流れに対して、自分の作業時間を見積もり、価格のレンジと考え方を組み立てられるようになります。
- 自分が同時に抱えられる支援先の件数の上限を意識し、成果を保証しないメニューとして設計できるようになります。
なぜこれが必要なのか
3日間かけて、診断・優先順位・KPI・提案・実行支援・月次報告という一連の型を身につけてきました。しかし、この型を実務で使い続けるには、もう1つ超えるべき壁があります。それは、「これをいくらで、どれだけの時間で提供するか」を自分で決めることです。
新しいスキルを身につけても、それを商品として値付けする段階でつまずく診断士は少なくありません。理由の1つは、AIを使うことで作業時間が減るという感覚はあっても、それがどれだけ減るのか、減った分をどう価格に反映すべきかの実感がないことです。もう1つは、「効果を保証しないと売れないのではないか」という不安から、つい成果を約束したメニュー設計に寄ってしまうことです。これは、D4-1で扱った表現規制の問題と、営業の場面でも同じ形で関わってきます。
さらに、値付けだけでなく、「自分は同時に何件までなら質を落とさず抱えられるか」を考えないと、受注が増えるほど1件あたりの対応が薄くなり、結果的に支援の質が落ちます。このコマは、4日間の技術的な内容の総仕上げであると同時に、「AIを使いこなす診断士」としての自分の商売を、抽象論ではなく手を動かして設計する時間です。AIは工数を減らす道具であり、減った工数をどう使うか——より多くの支援先を持つか、1社あたりの質を上げるか、自分の時間を守るか——を決めるのは診断士自身です。「AIに仕事を奪われるのではないか」という不安に対して、この講座が用意した1つの実務的な答えがここにあります。
押さえる考え方
4日間の流れを、1本のパッケージとして完成させる
Day1で環境を整え、Day2で診断、Day3で戦略・提案、Day4前半で実行支援と月次報告の型を作ってきました。ここではDay1〜3で扱ってきた湘南精密工業について、これらの成果物一式を、支援先にそのまま渡せる「パッケージ」として組み立て直します。新しい題材や新しい作業を追加するのではなく、これまでの成果物を通しで見直し、抜けや矛盾がないかを確認する工程が中心です。通しで見て初めて気づく矛盾もあります。例えば、提案書に書いた費用と、月次レポートで報告する体制が食い違っている、といった箇所です。ここを最終チェックします。
工数の見積り方 — AIを使う前提で、自分の時間を測る
値付けの出発点は、この一連の作業に自分が何時間かけるかを具体的に見積もることです。AIを使うことで、ヒアリング整理・診断・優先順位づけ・提案書のドラフト・月次レポートの下書きにかかる時間は圧縮できますが、AIの出力を検算・検証し、経営者との対話に使える形に磨き上げる時間は、依然として診断士自身の仕事として残ります。
見積りは、単発(診断から提案までの一括提供)と継続(月次の伴走支援)に分けて考えます。単発は「初回の作業時間×時間単価」、継続は「毎月の作業時間×時間単価」という式が基本形になりますが、実際は支援先とのやり取りや修正対応の時間も含めて見積もる必要があります。
価格は「レンジ」と「考え方」で示す
価格を1つの数字で断定すると、自分の状況(経験年数、地域、専門性)に合わない金額になりがちです。このコマで作るのは「いくらにするか」の最終決定ではなく、「どう考えて価格を決めるか」というロジックと、そこから導かれるレンジです。成果保証を前提としたメニューにしない、という原則もここで改めて重要になります。売上アップを保証する売り方は、D4-1で扱った表現リスクとも直結します。保証ではなく、「何を、どれだけの頻度で、どういう体制で提供するか」を売る設計にします。
抱えられる件数の上限を、単価とセットで出す
単価だけを決めても、それだけでは商売として成立しません。1社にかけられる時間から逆算して、自分が同時に抱えられる件数の上限を出します。この上限を意識しないまま受注を重ねると、1社あたりの対応が薄くなり、質が落ちます。AIで工数が減ったからといって、無限に受注できるわけではないという前提を、ここで確認します。自分でやる部分と外注する部分を分けておく(D3-3・D4-1の考え方)ことで、上限を引き上げる余地がどこにあるかも見えてきます。
4日間の先に — これからの実務にどうつなげるか
この講座で扱った型は、湘南精密工業という1社を通じて身につけたものです。実際の支援先は業種も規模も体制もそれぞれ違い、この講座の手順がそのまま当てはまるとは限りません。型を覚えることより大事なのは、「診断→戦略→提案→実行→報告」という一連の流れを、自分の頭の中に一度通しておくことです。次に別の支援先に向き合ったとき、どこかの工程でつまずいても、「今、自分は流れのどこにいるか」が分かっていれば、迷わず修正できます。生成AIの機能や使い方は今後も変わり続けますが、この「流れを持つ」という感覚は、道具が変わっても引き継げるものです。修了後も専用サイトで解説動画・テキスト・演習データを3か月間参照できるので、実際の支援先を前にして手が止まったときは、該当するコマに立ち返って手順を確認してください。
手を動かす手順
- Day1〜4前半で作った湘南精密工業の成果物一式(ヒアリング整理・診断レポート・優先順位つき施策表・KPI設計書・提案書ドラフト・実行支援の成果物・月次レポート)をAIに読み込ませ、全体を通して矛盾や抜けがないかを洗い出させます。
- 指摘された矛盾・抜けを、自分の判断で直します。AIに直させたら終わりにせず、最終確認は自分で行います。
- プロンプト集「自分の支援メニューを設計する」(
menu-01)で、自分の状況(現在の顧問先数・1社にかけられる時間・現在の顧問料の相場)を入力し、支援メニューの設計を依頼します。 - 出てきた単発メニュー・継続メニューの作業時間見積りを確認し、この4日間で実際に体感した作業時間と照らして検算します。AIの数字をそのまま採用しません。
- 価格が「断定」ではなく「レンジと考え方」の形になっているかを確認します。特定の金額に断定していたら、レンジに直させます。
- 抱えられる件数の上限が示されているかを確認します。示されていなければ、1社にかけられる時間から逆算するよう指示し直します。
- 支援先に提示するときの説明文を確認し、成果を保証する表現が入っていないかをチェックします(D4-1の
quality-02の考え方をここでも当てます)。 - 完成したパッケージと支援メニュー案を
04_成果物/に保存します。
つまずきやすいところ
- AIが出す工数見積りが、自分の作業スピードと合わない:この4日間で実際にかかった時間を基準に、AIの見積りを補正します。AIの数字をそのまま採用しないようにします。
- 価格レンジが幅広すぎて、支援先への提示に使えない:レンジの根拠(何が上振れ・下振れの要因になるか、支援先の規模や関わる範囲など)を言語化させ、狭められないか検討します。
- 「抱えられる件数の上限」を考えずに、価格だけ決めてしまう:1社にかけられる時間を必ず先に確認し、そこから上限を逆算する順番を崩さないようにします。
- メニューの説明文に、つい「成果が上がります」と書きたくなる:D4-1で身につけた検査の型を、自分の営業文にも当てます。断定表現がないかを読み返します。
- 通しで見直すと、Day3の提案書とDay4の月次レポートで体制や費用の記載が食い違っている:最終チェックの段階で、成果物どうしの整合性を必ず突き合わせます。
このコマが終わったときの状態
- 湘南精密工業の成果物一式が、矛盾なく1つのパッケージとしてつながっている
- 単発・継続メニューそれぞれの作業時間が、AIの見積りと自分の実感の両方で確認されている
- 価格がレンジと考え方で示され、断定になっていない
- 自分が同時に抱えられる件数の上限が示されている
- メニューの説明文に成果保証の表現が入っていない
時間配分(計120分)
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60分演習【ワーク】1社分の「診断 → 戦略 → 提案 → 実行 → 報告」を通しで完成させる
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30分共有成果発表と相互レビュー
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15分講義支援メニュー化と工数の考え方
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15分共有受講後の学習ロードマップ・質疑応答
このコマで残るもの
- 支援先1社分の完成パッケージ
- 支援メニュー案
このコマで身につくAIの使い方
このコマで使うプロンプト
当日のワークシート
演習中に手元に置いて、埋めながら進めるシートです。印刷してお使いいただけます。
このコマの事前学習
既存教材「WEBMARKS AIエージェントCAMP」から、このコマの予習に使うレッスンを選んでいます。