実測して、採点する
根拠を1行ずつ残すという規律
支援先1社と競合3社を同じ評価軸で実測・採点し、スコア表にする。
このコマで何ができるようになるか
- 追加の有料ツールを使わず、無料の手段だけで支援先と競合3社を実測できるようになります。
- 支援先と競合3社を、同じ基準で並べて採点できるようになります。
- 採点の軸と配点を、その場の思いつきではなく、あらかじめ定義してから使う手順を身につけます。
- AIが出した数字をそのまま受け取らず、検算して誤りを見つける、という診断士に必要な確認の技術を身につけます。
なぜこれが必要なのか
「Webサイトが競合より弱い」という指摘は、言葉だけで伝えると経営者に伝わりにくく、診断士の側も「具体的にどこがどれだけ弱いのか」を問われると答えに窮することがあります。同じ軸で採点し、並べて示すことで、どこにどれだけ差があるのかが1枚で伝わる資料に変わります。
一方で、AIは数字をもっともらしく間違えます。根拠のない点数をそれらしい表の形で出してくることがあり、しかも表の見た目が整っているほど、人は中身を疑わずに受け取ってしまいがちです。この資料は診断士の名前で支援先に渡るものです。数字が1つでも根拠のないまま残っていれば、その資料全体の信頼が崩れます。だからこそ、採点そのものと同じくらい、検算の手順を身につけることが重要になります。
押さえる考え方
実測は無料でできる — 追加の有料ツールは不要
「Webサイトを診断する」と聞くと、専用の有料分析ツールへの契約が必要だと思われがちです。しかし、このコマで行う実測は、ブラウザとその標準機能(表示速度の見え方、スマートフォン表示の確認など)、そして検索エンジンでの検索結果の目視確認だけで行えます。追加の有料ツールへの契約や、支援先へのツール利用料の請求は必要ありません。この前提を最初に置くことで、診断士自身が今日から追加コストなしで使い続けられる型になります。
採点軸は「先に定義してから」使う — 配点の根拠を1行で説明する
採点をいきなり始めるのではなく、まず7つの軸と、それぞれ「5点はどういう状態か」「1点はどういう状態か」の定義だけを出させ、診断士が確認してから採点に進む、という2段階で進めます。軸を先に固定しないと、採点のたびに基準がぶれてしまうためです。
このフォルダの 02_手順書/02_Web診断.md には、①見つけてもらえるか(20点)②何の会社か伝わるか(20点)③問い合わせられるか(15点)④信頼できるか(15点)⑤読めるか(15点)⑥技術的な土台(10点)⑦継続できるか(5点)という、あらかじめ用意された7軸の例が入っています。今日AIに提案させる軸がこれと大きく違う場合は、業種特性(金属精密加工・BtoB・紹介中心の営業)に照らして、どちらがこの案件に合っているかを自分で判断します。
配点の大小にも根拠が必要です。「見つけてもらえるか」の配点が他より高いのは、見つけてもらえなければ他のどの軸も意味を持たなくなるからです。なぜその軸にその点数を割り振ったのかを、診断士自身が1行で説明できる状態にしてから採点に進みます。
データがない項目は「0点」ではなく「データなし」
実測できていない項目は、0点として扱いません。「データなし」として分母から外し、満点が100点にならない場合は分母を明記します(例:「85点満点中52点」)。0点は「確認した結果、悪かった」という意味になり、データなしは「まだ確認できていない」という意味です。この2つを混同すると、支援先に誤った印象を与えることになります。
AIの数字を検算する3つの手順 — 根拠を1行ずつ残す
採点のすべての工程を通じて崩さない規律が1つあります。配点した点数の根拠を、必ず1行で書き残すことです。「なんとなく3点」という採点は、後から自分でも説明できなくなります。この規律を土台に、AIが出したスコアは、次の3つの手順で検算します。
- 出典突合 — スコアの根拠として書かれている1行が、実際にその資料のどこに書いてあるかを、自分の目で開いて確認する
- 配点整合 — 軸ごとの配点を合計し、最初に確認した基準の数字と一致しているかを検算する
- ゆれ確認 — 同じ資料をもう一度読ませて採点し直させ、大きく点数が変わる項目がないかを見る。変わった軸は、基準があいまいだったサインとして扱う
競合の事実は書いてよい。名指しの批判に変えない
競合3社の状態を事実として書くことは問題ありません。フォームの有無や更新頻度は、実測すれば確認できる客観的な事実だからです。一方で、その事実に強い評価の言葉を重ねて、名指しの批判に変えることは避けます。事実と評価は、常に分けて書きます。
手を動かす手順
- プロンプト集の「7軸スコアで競合と比較する」(
diagnosis-03)を使い、まず採点軸7つと5点・1点の定義だけを出させます。この時点ではまだ採点させません。 - 出力された軸の定義を確認し、
02_手順書/02_Web診断.mdにある7軸の例と見比べます。大きくずれていないか、湘南精密工業(演習用の架空企業)の業種特性に照らして違和感がないかを確認します。 - 軸が固まったら「採点に進んでください」と伝え、湘南精密工業と競合3社(サイト実測データ.md記載のX社・Y社・Z社)を採点させます。根拠を1点ごとに1行残すよう、指示に含めます。
- データがない項目は「データなし」と明記させ、0点と混同していないかを確認します。
- できあがったスコア表について、まず3項目だけ「出典突合」を自分で行います。根拠の1行が、実測データ.md のどこに書いてあるかを開いて確認します。
- 「配点整合」として、各軸の配点を合計し、手順1で確認した基準と一致するかを確認します。
- 「ゆれ確認」として、同じ資料でもう一度採点させ、点数が大きく動いた軸がないかを比較します。
- 軸ごとの差が大きい順に並べた表も出力させ、どこで最も差がついているかを確認します。
- A4 1〜2枚に収まる形で保存します。
つまずきやすいところ
- 採点軸を確認せずにいきなり採点させてしまう:一度出た軸を後から変えると点数の一貫性が崩れることを思い出し、「軸の確認→承認→採点」の順に戻ります。
- データがない項目に低い点をつけてしまう:「データなし」と「低評価」は別物だと確認します。分母から外すか、その旨を明記します。
- 検算する時間がないからと省略してしまう:全項目は難しくても、配点の高い軸だけは自分の目で確認します。
- 競合の弱点を強い言葉で書いてしまう:事実の記述と評価の言葉を分け、名指しの批判にならない表現に直します。
- 満点表記を100点で固定してしまう:データなしの項目がある場合、分母がいくつになるかをそのつど計算し直します。
- 有料の分析ツールが無いと正確に採点できないと思い込む:このコマの実測はブラウザと検索結果の目視確認だけで行える設計です。有料ツールが無いことを言い訳に手を止めないようにします。
このコマが終わったときの状態
- 追加の有料ツールを使わず、無料の手段だけで実測できた
- 採点軸7つと、5点・1点の定義を、採点前に確認・承認した
- 配点の根拠(なぜその軸にその点数を割り振ったか)を1行で説明できる
- 支援先+競合3社を同じ軸で採点し、根拠を1行ずつ残した表を作成した
- データがない項目を「データなし」として扱い、0点と区別した
- 出典突合・配点整合・ゆれ確認の3手順で、自分のスコア表を検算した
- 軸ごとの差が大きい順に並べた比較表を出力した
時間配分(計120分)
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25分講義サイトの技術面・コンテンツ面を実測する方法(追加の有料ツールは不要)
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20分講義7つの評価軸によるスコアリング — 配点の根拠と「根拠を1行ずつ残す」規律
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15分講義競合数社を同じ軸で並べる比較の作り方
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50分演習【ワーク】支援先1社+競合3社を実測し、スコア表を作る
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10分共有つまずき解説
このコマで残るもの
- 7軸スコア表(支援先+競合3社)
このコマで身につくAIの使い方
このコマで使うプロンプト
当日のワークシート
演習中に手元に置いて、埋めながら進めるシートです。印刷してお使いいただけます。
このコマの事前学習
既存教材「WEBMARKS AIエージェントCAMP」から、このコマの予習に使うレッスンを選んでいます。